民俗 商品

民俗とは、民間で伝えられている風習や風俗のことです。また、民俗学は民族学や文化人類学に近接する学問のひとつで、その国に住む人の日常生活文化の歴史を、主に民間伝承を中心に再構成しようとするものです。
具体的には、古くから伝えられてきた民話や風習、習慣、家屋など、有形無形を問わず民俗資料とされるものを研究し、その歴史や移り変わりを研究していきます。
また、民俗学では出自がわからないまま現代まで続いている風習について調べ、その発祥や原型を解明する役割も果たしています。
そのため民俗学によって、国や世界の大まかな歴史だけでなく、よりピンポイントの小さなコミュニティにおける歴史を知ることができるのです。

なぜ、白人は米国大陸を制覇できたのか
 なぜ、白人はアメリカ大陸を制覇できたのかという理由を、銃・病原菌・鉄というキーワードで読み解く人類史への壮大なミステリーを解き明かそうとするのが本書です。


 結局、農業生産により食料の増大が、白人に政治システム・軍隊・武器の技術を与え、結果として、アメリカ大陸を制覇したといいます。


 なぜ、食料生産がユーラシア大陸でできたかということを説明していくのですが・・・。


 しかし、本書を読んでいて、まさに唯物論的であり、どこか抜け落ちているような気がしてなりません。


 食料生産の高度化により、食料生産に携わらない人間が、良い政治システムを持つまではわかるのですが、なぜ、武器に向かうのか。


 どうも、本書の理論は片手落ちであり、個人的には、白人の暴力主義、征服主義という精神論を説き明かさなければ、本当の意味での白人の五大陸制覇を説明できないように思います。


 その点で力作を望むところです。


 ただ、本書は訳も読みやすく、論証も明快なので、ぜひ、一読してほしい一冊です。

読んでると、やたら腹が減る人類史
非常に遅ればせながら。
山田風太郎の『魔界転生』の石川賢による漫画化で、病原菌の固まりとして転生してくる駿河大納言
の描写があったじゃないですか。新大陸に乗り込んでくるヨーロッパのイメージとして、あの描写が脳にすり
込まれてしまいましたよ。

大陸間の文明格差と、その結果としての今日の情勢を、栽培化・家畜化可能な野生種の有無と
大陸の形状(伝播の環境的制約)から一気に説明してみせた壮大な人類史。
植生などの気候風土と地理的要因といった環境条件に人類の文化が決定的に制約されている様は
圧巻ですね。非常に大きな説得力を持っていると思います。
ヨーロッパの南北アメリカへの進出(侵略)だけではなく、その人類史上最大の不幸な遭遇を、オースト
ロネシア語族の太平洋への拡散やバンツー諸族のアフリカ南方への拡散などと同じ現象の一事例とし
て位置づけるなど、刮目する理路多数。

しかし、同じユーラシアでもヨーロッパが世界を席巻して中国はそうでなかった理由を、政治的統一の
有無に求め、その政治的統一の有無を、水系や半島などの地理的制約に求めるあたりは、それまで
説得力があっただけに、かなり厳しいのでは?
これは著者自身が正しく総括しているように、今後、探求が進められるべき領域なんでしょう。
私は、どうしても「なぜヨーロッパが?」と来ると、M.ウェーバーを連想しないではいられないのだけれど。

天文、地質、生態、進化など、実験が不可能だったり倫理的に許されなかったりする分野を歴史科学
と位置づけ、それらと一貫した方法を模索して、人類史の今後に期待する態度には大賛成だけど。

しかし、参照文献をまるごと無しで済ませるって翻訳の方針には大疑問。
読者のさらなる探求を阻害するという意味で、原著者の意図にも、文明の相克という本書の趣旨にも
悖るのではないか。
古ぼけた価値観を壊す鉄槌の一撃のような新しい史観
歴史はなぜ動くのか?その動因を求めて、人は様々な史観を考案してきた。英雄豪傑が歴史を動かしてきたとする大衆的な史観、人種間の優劣に原因を求める優生学的史観、経済構造がすべてと語るマルクス主義的唯物史観、社会構造や精神にその原因を探るアナール派史観、等等。生物学者が書いた本書は、これらに対し、動植物の分布環境がすべてを決定してきた、とする画期的な歴史の仮説を提唱してくれる。

本書の考察は旧大陸と新大陸の関係への疑問からはじまる。なぜスペインはアステカ帝国やインカ帝国を征服できたのか?なぜその逆のことがおきなかったのか?この疑問に対し、以前は白人文明の優位性、はては白人種の優位性による説明がされていた。これに本書は真っ向から反対する。いわくヨーロッパ人が優れていたわけではない、ただ旧大陸は新大陸より横長であるため、動植物の交流が多く、多くの動物を家畜化した結果ヨーロッパ人は伝染病に対する耐性を獲得していたにすぎない、と。反対に新大陸は東西の移動範囲が限られ、動植物の分布も貧弱であったため、先住民は伝染病に対する耐性を獲得できないままでいた。このため、スペイン人が上陸した後、あっという間に伝染病が広がり、文明が滅んでしまった、というのが本書の説く歴史である。それは人種間や文明間の優劣があったからではない、文明が育った自然環境という些細なことが全ての要因だったわけだ。

その他にも、世界の数多くの地域に取材しながら、なぜヨーロッパ人が世界の中で優位に立っていったのか、が、いかにも生物学者が書いた本らしく、極めて客観的・論理的に解説されていく。その論理構成たるや、見事の一言。世界の歴史を舞台にした壮大なフィールドワークとでもいうべき、きわめて実証主義的な視点が、本書の論理構成に鉄壁の信頼性を付与している。ヨーロッパ人は優れていたのではない、ただ動植物の自然環境に恵まれていただけなのである。従来の史観に対するこの強烈な鉄槌、痛快である。まさに唯物史観ならぬ、唯動植物史観の堂々たる登場、というところか。本書の読書にとって、これまでの自分の歴史観ががらりと変わること間違いなしの体験であろう。小さい現実の観察から論理を飛躍させ、壮大な歴史を構築するというこの壮大な仮説構成力は、感動的ですらある。歴史に興味のある人はもちろんのこと、優れたロジック展開や思考法を学びたいすべての人にすすめたい本と言えよう。

ピュリッツァー賞を受賞し世界的にも名高い本書は、間違いなく、自分の読書史上10冊の内にも入る名著である。このような本に出合えたことに感謝して5点満点献上。本書で感動を覚えた方には、同じ著者による続編「文明崩壊」もあわせておすすめしたい。
理系が書いた歴史書
文明の勃興や競争を地理的要素を重視して語るので、Geographical determinismだと揶揄されることもあるこの本ですが、極めて切れ味がいい理論です。雑多な出来事の流れに過ぎないようにも見える世界史の流れに、生物学や地理学という座標軸を設定すると、今までの人文科学てきな歴史観では得られなかったことが見えてきます。細部を捨象した大鉈をふるうような理論なので、色々批判は出来ますが、全体としては本質をかなりうまくとらえていると思います。

ピュリッツァー賞を受賞した本作ですが、英語自体は平易です。知的な体験を求めている方に是非お勧めです。
これからのスタンダードになりそうな予感、21世紀初頭のグッドジョブ
■テーマ「人類が誕生してから、何故、世界は今あるような姿になったのか?」
 ヨーロッパ人は南北アメリカ大陸に入植したけれど、なぜアメリカインディアンがヨーロッパに入植してくることにはならなかったのか、かつて文明が萌芽した「肥沃な三日月地帯」は何故いまは肥沃でないのか、他民族にひどいことをするのは「先進国」の専売特許じゃなくて以外と普通(程度は別として)かも、などなど、ともすれば様々な批判を招きかねないテーマを堂々と科学として成り立たせています。
 読んでいる途中で「そんなこと言っても○○じゃないの?」なーんてことを何度も思いましたが、彼は必ずどこかで返答を用意していて、自分の浅薄さを思い知らされることしきりでした。トホホ。
 だからって訳じゃないけどジャレドさん、あんた偉いよ。マジで。

■新時代到来か
 それにしても「何故いまあるようになったか?」って言われてもねえというテーマなんですが、必然と偶然のあいだを軽々と行き来するスタンスの取り方はお見事。ジャンルを超えて手本になり得るものだと思います。
 記述されている内容そのもの、議論のレベルの高さあるいは公正さ、そしてこれだけのしっかりした論考が単なる学術論文としてでなく一般に流通する書物として出版され(さらに日本語訳され)、こうして我々の手に入ること、どれをとってもこれからの本のあるべきスタンダードを示していると思います。

 おおよそ、進化とか進歩とかいう話をする場合、本書を知らないでは「お話にならない」ことになると思います。
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